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今の自分を支えているのは
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投稿日:2009/11/25 |
短編映画で取りざたされて、絵本を読まぬ人もタイトルは知っている人が多い絵本。
環境問題の絵本だと息子は言った。
だんだん地球が水没していく。
それを極端に表しているとすれば、環境問題の絵本であることはまちがいない。
でも、この絵本は環境破壊を訴えているのではない。
主人公は海に沈んでいく家に愛着を持ち、次々と上に家を積み木のように作り足していく。
ある日大工道具を落としてしまって取りに行くと、次々と自分が昔に住んでいた家が現れてくるのである。
おばあさんが死んだ家、おばあさんと一緒に暮らした家、娘が結婚した家、子どもが生まれた家、そして自分達が子どもだった頃の家。
最初の家は地上にあった。
それが次第に水没していくのである。
これって人生ではないか?
この絵本にはとても深いものを感じる。
自分は生きるために次々と家を作り足していくのである。
そして思い出は水没していく。
新しく作った家にタンポポの花が咲く。
意味深長である。
以前、まわりにあった家の住人は去ってしまった。
おじいさんはどこまで家を作り続けるのだろう。
自分は海の上で一人生活。
読み終えた所で息子が言った。
「おじいさんのいえってどんどん小さくなっていくんだよね」
そうなんだ、つみきのいえって上に行くほどどんどん小さくなるんだよね。
こんな所に自分の人生を重ねてはいけないと思いつつ、おじいさんが決して不幸にみえないのがこの本の究極の良さである。
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「ルリユールおじさん」の素晴らしい続編
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投稿日:2009/11/24 |
フランス映画のカットシーンのような情景が続く絵本。
シナリオのセリフのように添えられる言葉。
私とサエラの心の通い合いが素晴らしい。
サエラが声に出さずに伝えた「さようなら」。
そして、サエラのいない冬のモノトーンを彩る彼女の描いたスケッチの数々。
心憎いまでの演出です。
さすがにいせひでこさんです。
植物を愛する少女サエラと植物学者の私。
多くの木や植物を通して展開するストーリー。
物語の内容を多く語るより、まずは見ないと損する必見の絵本。
特に「ルリュールおじさん」に感動した人には必見です。
「ルリュールおじさん」に植物図鑑を製本してもらったソフィーが登場するのですから。
映画の最後に、関係者のクレジットが流れますが、この絵本では描かれた植物の一覧が添えられています。
描かれた木々、植物も立派に役を演じていると思います。
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絵にとけこんだ詩
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投稿日:2009/11/23 |
様々な写真の中に表現された「朝」。
素晴らしい写真集です。
一見関連性のなさそうな大自然の様々な描写をつなげるのは「朝」というキーワード。
その中に谷川さんの詩がさりげなく溶け込んでいます。
リラクゼーション絵本といった感じ。
朝のイメージのさわやかな音楽を添えると、とても素晴らし一日が始まりそうです。
谷川さんの詩は、写真によって喚起されたものでしょうか。
谷川さんの詩に写真を添えたものでしょうか。
どちらかが欠けても成り立たないように思うのですが、写真にとけ込み過ぎて谷川さんの詩があまり浮き上がってこないのが少し残念でした。
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こどもたちの世界
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投稿日:2009/11/22 |
後藤竜二さんの凄いところは、子どもたちの様々な年齢層とその心、行動を描き分ける事だと思う。
そのうえ大人世界の切り口で、鋭い絵本も書いている。
私が後藤さんの目を通して見た子どもたちは、幼稚園の園児や小学校低学年の疾風怒濤の時期が多かったのだが、12歳をタイトルとして小学校最高学年を設定した小説に子どもたちの成長過程を見た。
5巻からなるこの物語は、小学6年生の問題クラスの児童たちの心の奥底まで見せてくれてくれる。
様々な子どもたちの個性が時として一人称となりちりばめられていて、様々なストーリーを様々な角度から展開してくれる。
登場人物の一人一人が主人公のような展開である。
決して大人の目からの解説に収まろうとしないところが後藤さんのすごさである。
いじめ、不登校、多動…。
自分達の子ども時代とは異質の現在。
我が子を通して測ろうとしても解らぬ世界。
この本を読んでいると、学校からのメッセージとつながる所を感じた。
自分が現実を充分理解していなかったことを再認識。
だからといって、これは深刻な本ではない。
子どもたちがどの様な読み取り方をしているのか、気になるところである。
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異議なし!
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投稿日:2009/11/20 |
絵も文章も思いっきり元気。
長谷川さんワールドは、いつも元気。
そうです、教室はまちがえるところだ。くよくよするな。
下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる。元気もまわりが連れてくる。
良い先生だな〜。
こんな人間になりたいぞ。
おじさんだって、間違いだらけ。
めそめそしないで頑張るぞ。
…と、気づいたら自分に言い聞かせていた私。
低学年向けに書かれているようですが、高学年だってまだ間に合う。
タイムリーに読み聞かせしたい本です。
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絵本の大吟醸
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投稿日:2009/11/19 |
酒井駒子さんの絵はとても存在感があります。
そして、奥深いのです。
子どもに好まれる軽さや爆発感等とはちょっと異質かも知れません。
自分にとって、少しとっつき難かった作家ですが、なじんでくると重量感と、作品毎の表現、そして酒井テイストのざらつき感がとても気になってくるのです。
この絵本では、酒井さんは絵本の絵についてかなり常識破りのアプローチをしているように思えます。
灰色の紙にモノクロームの絵。しかもくまやことり、やまねこを灰色の用紙からぼんやりと浮き立たせるという、絵本を見た人でなければ味わえない世界を築きました。
挿絵をちりばめたページ。見開きいっぱいに絵が浮き出てくるページがあります。
かと思うと絵のない見開きページがあります。
しかし話を聞いている人間には見えない絵が浮き上がってくるのです。
これは確信犯です。
これだけのことをやってみせる絵本画家はいないのではないでしょうか。
酒井さんの絵ばかりの話になってしまいましたが、それをみごとに引き出しているのが湯本香樹実の文章。
「今日の朝」の言い回し、くまとやまねこの会話の展開。
全体としてとても味があって、機知に富んでいる。
無二のともだちのことりが死んで悲しみに包まれたくまさんですが、話にじめじめした所がありません。
こちらは、湯本さんの作品の数々を知って納得です。
絵本の大吟醸。
高学年以上に味わいのある絵本かと思いました。
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りんごへの愛着と思い出
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投稿日:2009/11/18 |
後藤竜二さんの思い出なのだろうか、りんごと北海道。
この組み合わせの絵本が多いように思います。
「紅玉」では戦争と強制労働者の悲惨さを描き、大人の世界を伝えていたのですが、この絵本は子どもの世界。
りんご畑の農作業と兄弟たちの奔放な姿をのびのびと描いています。
どちらも素晴らしい絵本です。
年にそうあることないかた雪の日に馬ソリで遠出したい。
それでも父親に言われた枝ひろいもとても大切な、生活のための作業。
手伝いをしながら、遊びも忘れず、やっと作業を終えて夕暮れのなかにソリで出かけた冒険。
丘の上から見下ろした我が家。
きっと良い思い出なんだろうな。
後藤竜二さんと絵を長谷川知子さんの組み合わせも、子どもたちをのびのびと見せる上でとてもぴったりしています。(「紅玉」を長谷川さんが描いたら、あの重さは出なかったかと思う)
話の内容と、絵の作者もとても関係があると思った作品。
後藤ファンには、両方読むことをお薦めします。
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あれ、避雷針って?
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投稿日:2009/11/18 |
かみなりって、どうしておへそが好きなんだろう。
不思議なことですが、かみなりといえばおへそというのが国民的な共通認識かも。
そして、子どもはこの手の話が大好きです。
おへそが取られちゃったらどうなるんだろう?
この絵本では力が入らなくなっちゃうようです。
ウーン、説得力。
そして、和尚さんがここぞとばかりに出したのが、建物の上の避雷針。
科学的な絵本にさえなってきました。
しかも、この絵本縦開き。
いやでも子どもの目を惹く絵本です。
へそもちの話にしても、「へ〜そ〜」と納得してしまいそうです。
楽しい絵本ですが、避雷針の正しい知識だけは事前に調べておくと、さらに点数が上がりそうです。
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絵も文も絶妙です
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投稿日:2009/11/16 |
天気が良くて、やる気満々で起きたおじいさん。
それなのにやることなすこと失敗ばかり。
おばあさんにとっては大迷惑だけど…。
おじいさんの考えたおまじないと、おばあさんの広い心。
ドタバタが繰り返された末に、最後に落胆しきったおじいさん。
今度はおばあさんがおまじないをしてあげました。
老夫婦の軽妙な掛け合いになんとなく気持ちが洗われます。
それを後押しするのが、田島さんの絵。
なんだこりゃ〜。
文章だけを読むと、妙に納得するようなお話しだけど、理屈で考えさせてくれません。
なにせはじけきって、爆発しています。
文章と絵を関連づけるのは、連想の世界。
読み終えて、「それでいいのだ」と思いました。
田島さんの世界に感服です。
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自転車を大切にしよう
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投稿日:2009/11/15 |
棄てられた自転車のピカピカ。
まだまだ走りたいのに。
猫のタマに助けられ、飼い主のゆきちゃんに連れて行ってもらったのは自転車屋さんのげんじいさん。
すっかり元気になったピカピカがアフリカで活躍する話です。
この絵本、2つのポイントがあります。
一つは、自転車がいかに安易にゴミとなっているかということ。
実際に放置自転車、廃棄自転車をよく見かけるけれど、自転車はそう簡単に壊れたりしないし、修理さえすればいくらでも使えるものです。
安易に棄てられてしまうことを、考えなければいけない。
ものを大切にするということを一番はっきりと表しているのではないかと思います。
(買った方が安いという感覚も、日本人として恥ずかしい感覚)。
もう一つは、中古自転車がアフリカ等の国では立派に活躍しているという事実です。
中古自動車にしても然り、多くの中古品が海外で再利用されていると思います。
そのなかで、燃料を必要としない自転車は活躍の場が広い。
海外支援として、何ができるかを語ってくれています。
ただ、この本は、子どもに物の再利用と物を大事にすることを的確に伝えなければいけないという課題を持っています。
子どもは親の行動に学んでいるのですから。
自転車の簡単な整備くらいは自分でできるようにしましょう。
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